音楽の効果② / 思い出を動かす

アーティスト・イン・ばあちゃんちオフィシャルウェブサイト


コンサート・イン・ばあちゃんち企画では、ばあちゃんの思い出の曲やお気に入りの曲をリクエストしてもらい、演奏者はそれをもとにプログラムを作っていきます。


このアイディアを裏付けてくれたのが、介護施設で音楽療法を取り入れている合衆国の団体「ALIVE INSIDE」の活動です。

この団体は、アルツハイマー患者にお気に入りの音楽を入れたiPodを渡し、その音楽にまつわる思い出やエピソードを聞くセラピーを行っています。

セラピーの様子をドキュメンタリーしたこの映画では、人との交流を絶ち、心を閉ざし、認知症の症状を悪化させていく一途の患者さんたちが、思い出の音楽にまつわる思い出を繰り返し語ることで、精神的に安定するだけでなく、むしろ生き生きと毎日を過ごすようになっていく様子が映し出されています。


凝り固まった感情を音楽が揺り動かし、かつての幸せや喜びをよみがえらせる。

不思議なことに、深刻な症状を抱えた患者さんたちはかつての幸福感を追体験することで、衰えてしまった身体感覚も部分的に回復していくのです。


第1回のコンサートでは、ばあちゃんのリクエストしたシューベルトの「野ばら」、ショパンの「別れの曲」を組み込みました。準備の過程で何度も曲にまつわる思い出を聞きに行き、私もばあちゃんと一緒に過去を旅したのでした。


終活を考え始め、ピアノも捨てようとしていたばあちゃんを元気にしたい。その思いを、こうしてプログラムに込めました。

AIGR / Artist in Gramma's Residence

ばあちゃんに、あの音をもう一度聴かせてあげたい―。そんな思いから、3つのささやかな音楽プロジェクトが生まれました。ばあちゃんのネットワークとおもてなしに新しい交流が加わり、ばあちゃんも、地域も、元気に。

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