企画が始まるまで① / ばあちゃんとの出会い

「アーティスト・イン・ばあちゃんち」オフィシャルウェブサイト


私は2016年7月から2018年3月まで、福井県坂井市の地域おこし協力隊として活動をしていました。任務地は同市の竹田地区という山あいの集落で、私が住み始めた当初は人口350人ほどの小さな村でした。

そこで出会ったのが私と同じ名前のばあちゃん。奇しくも私の母校の大先輩で、若い頃は旅行代理店のアテンダントとして世界各地を飛び回ったこともある、ハイカラなばあちゃんです。

そんなばあちゃんの住む大きなおうちの玄関先には、古いピアノがありました。ばあちゃんは音楽が大好き。私がたまに気の向くままにピアノを弾くと、懐かしい楽譜を取り出してきては一緒に歌ったり、嬉しそうに音に聞き入ったりするのでした。


ばあちゃんは、10歳ほど年の離れたじいちゃんを介護しながら生活しています。秋も深くなりはじめたある日、ばあちゃんを訪ねると、何やらバタバタと家中をお片付け中。終活を考え、モノを整理しているということでした。

「このピアノも、もう娘も孫も弾かんと思うし、音もまともに出んで、値打ちなんかないやろ?いっそのこと、処分してまおうと思うんや」


なんだか投げやりにそう言い放ったばあちゃんに、もう一度そのピアノの音を聴かせてあげたい。そんな思いで立ち上げたのが、この「アーティスト・イン・ばあちゃんち」プロジェクトです。

AIGR / Artist in Gramma's Residence

ばあちゃんに、あの音をもう一度聴かせてあげたい―。そんな思いから、3つのささやかな音楽プロジェクトが生まれました。ばあちゃんのネットワークとおもてなしに新しい交流が加わり、ばあちゃんも、地域も、元気に。

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